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葛藤の毎日の新人時代、まず自分で考えることを習慣化し、芽生えた看護師としての自覚

私は高校時代、バレーボールをしていました。ケガをして、病院に行くたびに関わってくれる看護師さんにとても助けられた経験があります。その時に見た看護師さんの優しい姿に憧れて看護師を目指すようになりました。記憶にはなかったのですが、看護学生の時、10歳の頃に将来の夢をとして描いた「20歳の私」という絵を見る機会があり、それが看護師だったことに驚き、潜在的に看護師を目指していたことがわかり感動しました。しかし、現実はそう甘くはありません。新人の頃、覚えなくてはならないことも多く、やるべき仕事をこなすのに精一杯で、患者さんに余裕をもって接することができず、葛藤の毎日でした。患者さんやご家族の意見や指摘に対して病棟スタッフみんなで一生懸命考えて改善しているつもりでしたが、意見や意向が分かり合えず、自信につながらない日々を送っていました。しかし、最初から正解を先輩たちに求めるのではなく、まず自分で考えることを習慣化し、自分の意見を先輩たちに伝えた上で、他にどのような考え方があるのか、意見交換をするようにこころがけました。患者さんを看て、自分でアセスメントをする習慣を身に付けることで、自分は看護師であると自覚するとともに、成長につながったと考えます。
入院生活の中でもできるだけ、自分らしい生活してもらえるように創意工夫をしていきたい
私は、常に患者さんの生活を大事に思い看護をしています。入院生活は普段の生活と比べると違和感があるでしょう。具体的には、できるだけ家で生活していた時と近いリズムで生活してもらいたいと思っています。そこで、家で何をしていたのかを何気なく聞くようにしています。1日の過ごし方や好きなことを、入院生活の中でも、自分らしい生活に近づけるようにと考えています。例えば、畑仕事をしている人、庭で草取りをしている人には、その時間にリハビリをしてもらったり、動く時間を作ります。運動ができない人であっても、座る時間を作り、塗り絵など何か作業をしてもらうようにしています。そして、夜はしっかり睡眠をとってもらい、生活リズムを整えるようにしました。高齢の患者さんも多く、認知症やせん妄を発症することもあるため、生活リズムを整えることは、それらの予防にもなると思い、大切に考えています。最近は、退院支援の勉強に力を入れています。入院生活だけでなく、退院してからもその人らしさを大切にして生活ができるようにするためにどうすればよいかという視点を意識するようになりました。特に、コロナ禍で、家族との面会もままならない状態で、患者・家族がどうしたいのかということについて、お互いの橋渡し役として適切な提案ができるようになりたいと思っています。


これまで先輩たちにして頂いたことと同じように後輩たちに接し、一緒に成長していきたい

看護師になって5年目を迎えましたが、まだ今後どのようなことにチャレンジをしていこうか決めることが出来ていません。今後どのような看護師になっていくのかを考えながら、基本的なことも含めてまだ足りていない知識や技術の習得をする段階にいると思っています。ただ、そうは言っても、後輩たちから見ると5年目の先輩ということになります。自分がこれまで先輩たちにして頂いたことと同じように後輩たちに接していきたいと思っています。後輩たちには、同期の人だけでなく、先輩達に対して積極的にコミュニケーションするようにアドバイスしたいとともに、その点をフォローしていきたいです。先輩に確認・相談することは自分の判断が正しいかどうかを学ぶことができます。また、自分の判断が正しくても、異なる考えや捉え方を知る機会になり、その時の学びはとても大きいと感じています。先輩と言っても看護師だけではなく、リハビリや薬剤師など多職種の先輩たちとも積極的コミュニケーションをしてもらいたいと思います。そして、私自身後輩とのコミュニケーションや指導を苦手としています。この苦手を克服して、後輩たちとともに、私も成長していきたいと思います。

未熟さにジレンマを感じながらも、患者さん、先輩・同期に支えられて感じる看護の喜び

私が看護師になろうと思ったきっかけは、小学生の頃、兄が入院した際の両親の姿でした。患者家族の大変さを間近で見ていた私は、患者はもとより家族に対してもケアができる看護師になりたいと思うようになりました。高校進学と同時に看護を学ぶことになりました。患者さんとたくさん話して、役に立ちたいと思い描いていましたが、新人看護師の頃は覚えなければならない業務をこなすのに精一杯で、しっかりと患者さんの話を聴きたいと思っていても、なかなかその状態に至らず、未熟さにジレンマを感じていました。その後、外科から救命救急に異動しても、「まだまだだなあ」を感じながら働いていました。しかし、看護師の仕事を辞めたいと思ったことはなく、患者さんの笑顔や「ありがとう」という言葉、先輩や同期の仲間たちに支えられ、やりがいを少しずつでも感じながら仕事に取り組んでいました。患者さんとしっかりとコミュニケーションを取り、家族を支える先輩を見て、勇気づけられてきました。育休期を終え、呼吸器内科で看護をしていますが、患者さんと以前よりはしっかり話せるようになり、看護の喜びを一層感じるようになりました。


常にアンテナを張り、相手の立場に立って考え、適切な看護ができるように創意工夫を重ねたい

私が看護をする上で大切にしていることは、患者さんの気持ちに寄り添うということです。具体的には、相手の気持ちを知る、相手の立場に立って考えるということを意識しています。例えば、あまり話されないコミュニケーションを取るのが難しい患者さんがいます。そんな場合でも、状況に応じて、こんなことを感じているのではないかと仮説を立てて、こちらからそれを言葉にして問いかけてみるといった工夫をしています。また、患者さんが話したいというタイミングを注意し、逃さないようにしています。医師が患者さんに説明する時、体調が悪くなった時、言葉数が激減した時などです。正解はありませんが、常にアンテナを張り、適切な看護ができるように創意工夫を心掛けています。終末期の患者さんの自宅に帰りたいという要望があり、最近は訪問看護師と情報共有をする機会が増えて来ました。自宅に帰るにはタイミングがとても大事だと思います。タイミングを逃すと病院でお亡くなりなることになります。限られた時間の中で自分にできること考えて看護をしていくことにその深みを感じ、新たなやりがいを見出しています。家族の協力、訪問看護師との連携、この仕事にはまだまだ私の知らない魅力がたくさんあるように感じています。


人生の最期を迎える患者さんのどんな力になれるのか、若い人たちと考えていきたい

これから私がチャレンジしていきたいことは、臨床指導者の資格を取得したことも活かして、これまで私が経験してきたことや学んできたこと、終末期の看護の魅力などを新人看護師や実習生に伝えて行き、少しでも次世代の看護師育成に役立ちたいと思っています。私にとっても、看護に対する考え方に対して視野を拡げ、様々な視点を持つチャンスだと考えています。私たちの指導方法いかんによっては、新人看護師も実習生も緊張のあまり委縮させてしまいます。特に実習生の指導は外部の人たちなので、緊張しないように配慮し、できる限りのことを学び、経験し、気づきの多い機会にしてあげたいと考えています。そのためには、一緒に働くスタッフともそういう配慮を共有し、声掛けをお願いしています。コロナ禍で家族とも会えない終末期の患者さんの気持ち、支える家族のジレンマなど私たち看護師に何ができるのか、人生の最期をいかにその人らしく過ごしてもらえるように力になれるのか、そんなことを若い人たちと一緒に考えていきたいと思います。

リーダーになり、広い視野で仕事を捉えることができ、看護をする楽しみが増えてきた3年目

私が看護師になろうと思ったのは、看護師になりたかった母親の勧めがきっかけです。祖母が亡くなった時に、看護師になろうと決心しました。看護師として働き出した頃は、私のおっちょこちょいなところが顔を出し、ミスが多く、上司や先輩によく叱られていました。やはり、仕事に慣れていない、覚えることが多い、どうしても時間が掛かり忙しくなるので、振り返る時間も取れない状態でしんどい毎日でした。しかし、徐々に仕事も覚え、慣れてくるとミスを防ぐことができるようになり、入職した頃のことが嘘のようでした。振り返ると、叱られていたのではなく、しっかりと指導してもらっていたと思います。そして、3年目になるとリーダーとして仕事を任されるようになりました。自分の仕事だけでなく、周りの仕事にも目を配ることが必要になりました。そのことで、狭い視野で仕事していた自分が、広い視野で仕事を捉えることができるようになり、看護をする楽しみが増えました。後輩が入ることで、これまで以上に勉強することも楽しくなり、自分がやらねばという意識だけでなく、しっかりとやってもらえるようにすることも大事だと気づき、後輩たちのおかげで自分の成長があると実感しています。


ちょっとしたコミュニケーションを心掛けて、患者さんが尋ねたい時に尋ねやすくしてあげたい

現在、私は外来で勤務しています。病棟と違い、私たちの部署では接する患者さんの数がとても多いのです。それだけに関わる時間は少なくなります。短い時間の中での関わりの中で、自分たちが患者さんにできることは何かということをいつも考えながら外来の看護師たちは頑張っています。私が看護をする上で大切にしていることはたくさんありますが、最も意識しているのは、ちょっとしたコミュニケーションを心掛けて、患者さんに少しでも安心した気持ちで帰って頂くということです。ちょっとしたコミュニケーションというのは、例えば、「お大事に」という声掛けをする時に必ず患者さんの目を見て言うといったことです。長らく通院されていて、よく知っている患者さんとはたわいもない話をスムーズにすることができますが、ほとんどの患者さんはそういった関係性がありません。患者さんは不安を抱えて来られていますので、患者さんが私たちに何か尋ねたい時に尋ねやすくすることを意識しています。「○○しても大丈夫かな」と不安を抱えて帰られるより、尋ねて頂き、「大丈夫ですよ」と不安を減らして帰って頂きたいと思っています。


今は仕事と育児の両立に集中し、将来的には内視鏡検査の介助について専門的に学びたい

私は、子育てをしながら仕事をしているので、時短勤務で働いています。職場の皆さんの協力なしにはこんなに充実感のある毎日は過ごせないと感謝しています。今は、仕事と育児の両立に精一杯なので、皆さんに迷惑をかけないようにしっかり仕事をすることに集中したいと思っています。しかし、少し気持ちや時間に余裕ができたら、専門的な勉強にチャレンジしていきたいと思っています。例えば、内視鏡検査の介助について専門的に勉強していきたいと思っています。以前、検査の介助をする機会がありました。患者さんと接することができ、画像を見ることができ、とても興味深い経験をしました。興味があるので専門の書籍を読みますし、知識を習得は欠かせませんが、そうすればするほど実践の場での経験を積みたくなります。医師が内視鏡検査をしているところに立ち会い、薬を入れて、記録をするなど、実践し、患者さんに少しでも負担がなく検査を受けて頂けるようになりたいという想いを持っています。

普通であれば出会わない人たちの今後の生活のことまで考え、関われるのが看護の仕事の魅力

副看護師長 長谷川瑠璃

私が看護師になったのは子どもの頃に入院した経験をし、看護師の皆さんの姿に憧れを感じたことがその動機になっていると思います。しかし、憧れと現実の間にはかなりのギャップを感じました。特に、看護学生時代は指導してくれる看護師が厳しかったことを覚えています。自分では患者優先でケアをしているつもりですが、指導してくれる看護師から見るとそのレベルに全く達しておらず、その点をよく指摘され、凹みました。しかし、そういう指導があって、患者さんに対して何をすることが大切なのかという視点が養われたと思います。長く看護の仕事をしていて思うのは、自分で選んで付き合う人達ではない人達、例えば、私とはあまりご縁のない仕事や趣味をしている方なども含めて、普通であれば出会うことがない方々と接することができ、しかも、その人たちの今後の生活のことまで考えて、関わることができる仕事であるということです。そのため、そこから得られる学びが多いのは言うまでもなく、患者さんにとって何が良いことなのかを考えて、関わった結果により充実感を感じ取れることが魅力だと思います。


師長とスタッフの橋渡し、そして、スタッフが専門性を高めるための環境づくりが私の役割

現在、私はNICUで副師長をしています。私の役割の中で最も大切にしていることは師長とスタッフの橋渡し的な役割を担うことです。師長はスタッフのことを本当によく考えており、それを私はよくコミュニケーションを取るのでわかるのですが、スタッフに正しく伝わっていないと思うことがあります。意思疎通は職場の雰囲気に影響しますので、とても大切なことと認識しています。また、スタッフの想いもしっかりと理解したいと思っています。私の部署は特別な専門性が求められるのですが、この分野はこれまで経験はありません。仕事に必要な専門的な知識の習得は必要ですが、スタッフが専門性を高めるための環境づくりが役割と認識しています。一人ひとりがどんな看護をして行きたいかをサポートするには、一人ひとりが考えている看護を引き出す必要があります。そのためには、どうやって信頼関係を構築するかが重要です。これは私に心を開いてもらわないとどうにもならないので、たいへん難しいことですが、スタッフの働きを尊重して、やってみたいこと、実現したいことなど一緒に考え、働きがいのある職場にしたいと思っています。スタッフとのコミュニケーションをする上では、リラックスした時間での会話を大切にしていきたいと思います。


自分たちの看護を部外・院外にアピールして、スタッフと共にもっと胸を張って仕事していきたい

専門性が高い看護をしている部署であるのですが、スタッフたちはどうも自信を持てていないのではないかと感じています。看護師にはよくあることですが、ある分野の仕事を長くしていると、その他の領域の仕事をできなくなるのではないかという不安が募ることがあります。そのため、私たちが今関わっている領域で培ったものは特殊なものであり、それは通常の看護とは別物と捉えてしまい、他の分野では通用しないのではないかという気持ちになるのではないかと思っています。私は、これまで現在の部署とは異なる分野で仕事をして来ました。だからこそ、言えるのですが、本当は共通している部分がたくさんあります。ここでのキャリアが他の分野で活かせることがたくさんあることを気づいてもらい、自分たちのやっている看護に自信を持ってもらえるように働きかけることを今後、チャレンジしていきたいと思っています。そのためには、自分達がしている看護や学習していることを部外や院外にもっとアピールしてもいいのではないだろうかと思っています。そのことで、自分たちの価値を感じるだけでなく、他分野の看護師たちがそこから何を学んだかを知ることもできます。スタッフ全員が胸を張って仕事をしていけるように、私は頑張りたいと思います。

メンバーの生活や健康管理に気を配り、長く、楽しく仕事をしてもらえる工夫をしていきたい

看護師長 本夛やよい
師長になって3年目となりましたが、副師長時代と同じ部署でそのまま昇進し、メンバーは慣れ親しんだ人ばかりだったのでとても助けられました。前師長から管理的な視点は教えてもらってきましたが、実際になってみるとやることが多いですし、管理をする視点や内容の違いを実感しました。師長が部署の最終的な責任者であるという自覚が生まれました。これまで、自由にやらせてもらえたのは守られていたからだと思います。最終的な決断をしなければならない場面が日常的にたくさんあるので、これまで以上に考えて動かないといけないと思いました。特に、患者さんの安全を第一に考えるにあたって、メンバーの生活や健康管理に気を配るように意識しました。例えば、勤務表を作る際に、メンバーの生活背景を理解し、集中力や緊張感を維持できるように配慮しています。看護師の仕事を長く続けてもらうために、また、楽しく仕事をしてもらうために、工夫するようになりました。


それぞれの個性や持ち味を存分に活かして、お互いが認め合う・学び合う風土を作っていきたい

私が、職場づくりをしていくうえで大切にしていることは、一人ひとりが何を大切にして仕事をしているのかということを理解することです。みんなが同じではつまらないと思っていますし、また、それぞれが違って当たり前だと思っています。もちろん、部署の目指す看護の意味を共有することは前提ですが、それぞれの個性や持ち味を存分に活かしてもらいたいと思っています。そのために、面談を大切にしています。メンバーの中には自分の持ち味に気づいていなかったり、やりたいことが明確になっていなかったりする人もいるので、大切にしていることを共有しながら、持ち味を引き出したいと思っています。患者さんの話をしっかり聞くのが得意な人、時間を大事にてきぱきと仕事をするのが得意な人、後輩を育てるのが得意な人・・・持ち味はそれぞれ違います。お互いの良さが部署内に伝播することで、それぞれがロールモデルとなり、認め合う・学び合う風土を作っていきたいと思います。病棟会などの機会を通じて、様々な看護の事例を語り合う機会をつくり、部署全体で視野を拡げて、看護を深めていくことを大切にしたいと思っています。


現場で考えや意見を積極的に言い、プラス志向で提供する看護を共有できる職場をつくりたい

4月に新しい部署に異動になりました。今年はコロナ禍もあり、病院全体がこれまでとは違う状況で日々の仕事をしていくという雰囲気でしたが、安全を最優先に、メンバーの疲労と不安の回避に努めました。ようやくメンバーとの面談もできる状態になり、今後の部署運営について検討しているところです。そんな中で、様々なチャレンジをしていきたいと思っています。まず、複数の科で構成されている病棟なので、カンファレンスを同じ時間にするなど効率的な運営をしたいと考えています。次に、退院支援についての能力をさらに高めていきたいと考えています。バランスを考えた勤務体制を再考し、メンバーの負担軽減を実現したいと考えています。今しかできない看護、今だからやるべき看護を考えて、プラス志向で自分たちが提供する看護を共有できる職場をつくりたいと思います。そのためにも、現場では自分の考えや意見を積極的に言ってもらい、愚痴は私に言ってもらい、私はそれを受け止めていきたいと思います。

憧れから看護師になったものの、現実の壁にぶつかり落ち込んだり高揚したりの新人時代

小学生の頃からドラマを観て看護師に憧れていました。家族や親戚にも医療職をしている者はいませんが、祖母と一緒に暮らしていたので、その話をしたら応援してくれました。実は、祖母は看護師になりたかったらしく、自分がなれなかったので応援してくれました。そして、看護学校に進学して、看護師になりました。実際に看護師になってみると、憧れていたイメージとはかけ離れたものでした。先輩たちの指導を厳しく思うことや、患者さんの希望に沿えないこともたくさんありました。例えば、自分がはっきりと理解していない状態で検査や処置を観察していると、「分からない状態でやろうとしたのですか、責任は持てますか」と叱責を受けました。こういった指導は新人の時は厳しく感じるので、看護師をやっていけるのだろうかと思っていました。些細なことで落ち込んだり高揚したりの繰り返しで、もう少し頑張ろうと思い続けていました。振り返ると指導が厳しいのではなく当然のことを教えられただけで、自分が甘かったのだと思います。それでも、徐々に患者さんとコミュニケーションが取れるようになり嬉しい瞬間も増えてきました。


様々な視点から話を聴き、患者さんの望む状態に近づけるのが看護の仕事の魅力

2年目になると、後輩のお手本になりたいと思っていました。私自身、常に憧れの先輩を目標にしてやってきたからです。患者さんに関心を持つ事から看護は始まると思うので、患者さんの話を聴くことを大切にしてきました。患者さんの話を聴くと、その人の想いを知ることができます。ずっと急性期の病棟に勤務していましたが、その頃は今と比べて患者さんと深く関わることがあまりできていなかったのではないかと思うことがあります。というのも、最近消化器内科に異動になったのですが、異動後に患者さんから「自分は生きているか死んでいるかわからない、このまま朝が来なくてもいいかなと思うんだよ。」という話を聞いて、私なりに色々と深く考えさせられるきっかけになりました。どうしてあげるのがいいのか・・・。他のスタッフや医師たちと情報共有して、治療方針を一緒に考えていきました。選択肢を広げるためにも患者さんの話をよく聴くことが必要だということを改めて考えさせられるきっかけになりました。様々な視点から話を聴くことでできるケアの選択肢が増えます。患者さんの望む状態に近づけることができるのが看護の仕事の魅力であることも再確認できました。


看護師の仕事を楽しく続けられるのは職場の皆さんや家族の支えに恵まれているから・・・

内科は特に高齢者が多く、認知症の患者さんが多いところです。当院の認知症委員会では、患者さんへのケアについて学ぶ機会があります。このような専門的知識をどんどん深めていきたいと思います。そして、自分がまず率先して勉強して現場のスタッフに関心を持ってもらえるようにアプローチして、知識を深めていきたいです。そして知識を深めていくことでよりよいケアに繋げていけるようになりたいと思います。私は看護師になって15年が経ちますが、この病院で仕事することは楽しく、特に患者さんのことを考えることが好きです。今、子育て中ですが、家族にも協力してもらっており現場にも子育てしている人が多いので、理解してもらい恵まれた環境で仕事ができていると思います。看護師の仕事を楽しく続けられるのは周囲の支えがあってこそだと感謝しています。

先輩が教えてくれた、真剣に話を聴くことを。患者さんと共に目標に向かえることが看護の魅力

副看護師長 鈴木美香
私は何か手に職を付けたいという動機で看護師を選びました。看護師になってすぐに看護の仕事の魅力に気がつくことができました。それは、周りにいる上司や先輩に恵まれていたからだと思います。新人から5年間いた部署は若い看護師にとってちょっと厳しい部署と言われていたようなところにいましたが、私の指導を受け持ってくれた先輩が丁寧にフォローをしてくれ、私の成長を支援してくれました。その先輩は、必ず私の話を真剣に聴いてくれました。真剣に聴いてくれるということは、私を認めてくれているという証だと思い安心して仕事に取り組むことができました。私が、看護の仕事に魅力を感じたのは、先輩が私にしてくれたように、私も患者さんの話を真剣に聴くということで、患者さんが私との関わりに安心感を持ってくださり、一緒に同じ目標に向かっていくことができるということを経験したからです。最近、手術室看護の経験がないまま、副看護師長として異動になりました。手術室看護はゼロからのスタートなので勉強をしなければならないことばかりですが、学びながらも自身の看護観を大切にしていきたいと思っています。


メンバーとの関りで大切にしていることは水平の関係性を守るということです

昨年、研修で大学の先生にナラティブ(語り)を学びました。相手の話を聞き切ることを身につけ、それを現場で活かしています。あるメンバーに「手術室の看護って何を大切にしているのですか」と聞くと、「手術に関する器械の知識を大切にしています」と言う答えが返ってきました。その答えに初めは驚きました。それは、私は患者さんに対する想いを期待したからです。しかし、反論せずに、そのメンバーと一緒に手術に入る機会をつくりました。看護に対するこだわりを知りたかったのです。「患者さんにとって安心で安全な手術が私にとっても一番大切なことである」とメンバーは語り始めました。それ以降、「今日の看護はどう思ったのか」という問いを1年ほど続けたある日、「私はこれが看護だと思いました」と聞かされました。担当した患者さんが「もう死んでもいい」と言ったそうです。だけど、「もう少し生きてはどうですか」と言うとその患者さんが「もう少し生きてみようかな」と言ったそうです。それがすごく嬉しかったと言い、自身で看護の意味に気づいたようです。このような成功体験を得るためにも、メンバーの価値観に寄り添いながら、一人ひとりの看護観を育み、看護能力を高めていきたいと感じた瞬間でした。


メンバーとの対話を大切にし、患者さんとの一瞬の積み重ねを大切にしていく手術室にしたい

以前、受講したナラティブの研修で自分の成功・失敗体験や引っかかっている点、それは自身の看護であり、それを可視化(文章化)し考察したことがあります。また、その可視化した内容を語り合いました。聞き手に聞いてもらったことで高揚感を得て、自分を認めてもらった実感を味わえたので、それをメンバーにも味あわせてあげたいと思っています。私たち看護師は忙しい中で、今、自分にとって何が大切かを考える機会を得ることは看護に対するモチベーションの向上に繋がると感じています。そこで、メンバーとの関わりは対話を基本にしています。メンバーと課題を共有として、一緒に解決策を考え、メンバーの持ち味を引き出していくこと、そして、メンバーがこれまで経験しなかったことを経験できるように支援すること、これらが管理者として取り組んでいきたいことです。また、手術室看護師として患者さんといかに短時間で対話をし、いかに働きかけて満足度を上げるのか、手術室では患者さんとの一瞬の積み重ねを大切にしていきたいと思います。

新人時代の最初の3ヵ月は暗中模索、3年目からは看護の楽しみがどんどん増えてきた

中学生の頃、親元を離れて長い間一人で入院した時にある看護師が親代わりに支えてくれました。その看護師から「あなたは看護師に向いているかもね」という一言を真に受け、また、その方に憧れて看護師になろうと思いました。実際に看護師なり、新人の頃は何が正しいのか、間違っているのかさえわからない、報告することもままならない状態でした。頑張っているのに何度も注意されショックを受けていました。夜勤をするようになり、ゆっくりとカルテを見たり、色々な患者さんを看たり、先輩看護師が報告しているのを見て、徐々に異常が何かがわかってきました。看護に楽しみを感じるようになったのは3年目のリーダーになってからです。リーダーになってから周りが見えるようになり、例えば、医師の考えがわかるようになると何でこの薬なのかなとか、何故この指示なのかなとカルテを見て考えるようになりました。新人の最初の3ヶ月は暗中模索でしたが、3年目には看護の楽しみがどんどん増えて来ました。今、新人に対してはわからないことが前提で話をし、反応を見て、わかってない部分を掘り下げるようにしています。


その人を知る大切な情報源を得る日々の関わりを大切にして、適切で質の高い看護に繋げたい

患者が元気になって帰って行くのを見ると看護師の仕事をして来て良かったと思います。仕事のひとつに退院支援がありますが、患者さんにとって何が必要かを考えて指導するよう心掛けています。様々な患者対応の一つひとつの工夫が自分のチカラになっているという実感があります。そこで得たチカラを次の患者さんに活かしたいという気持ちで仕事に取り組んでいます。私が看護をする上で大事にしていることは、忙しくないという風に装うことです。外科病棟なので、バタバタしているとそれが患者さんに伝わるので、忙しい看護師に気遣いし何も言えないということにもなりかねません。それに対して申し訳ないと思うのと、患者さんにとって大事なことを見落とすのでないのかと感じています。少し手を止めるだけで患者さんが話しかけてくれるので、そこで得た情報から適切な看護を考えることができます。また、患者さんの表情も和らぎます。例えば、手術前後は顔がこわばっているので声をかけるとニコッとされることが多いです。その表情を見て、それが本当のその患者さんの姿かなと思うと日々の関わりが大切だなと思います。そういう地道な関わりの中で、患者さんが私の名前を覚えてくれる関係が築けることで、その人に合った適切で質の高い看護に繋がるのではないかと思います。


実習生に私の働く姿を見て具体的な未来像を描いてもらえるよう、私もさらに成長していきたい

2年前から本格的に実習生の指導に関わるようになりました。経験年数が増えると後輩のスタッフから様々なことを相談される立場になり、経験年数と自分の実力が合っているのかなと思う時もありました。しかし、今は、指導の楽しさを感じるようになりました。当面は指導力を上げることにチャレンジしたいです。学生たちの目の輝きが変わり、積極的になっていくのを見ると、指導方法で変わってくることがわかります。実習できていた学生が、その後入職して、再会すると「あの時はお世話になりました」とあいさつに来てくれるのは指導する側としては大変うれしいことです。指導する側に対して、学生たちは意外とハードルが高く、質問し辛いでしょうし、話しにくいかもしれにいので、私が学生さんの部屋に行って、声を掛けて、寄り添って話を聞き、わからないことがあれば一緒に勉強していくということを心掛けています。だんだん話し掛けてくれるようになるので、指導もやはり日々の関わりが大切だと思います。私の働く姿や私の看護を見てもらうことで具体的な未来像を描いてもらえるように私自身もさらに成長していきたいと思います。