周産期センター
師長 瀬川明子
周産期センターは病院の中では独特の働き方をしていると思います。スタッフ産科外来、産科病棟、NICUと担当により日々それぞれの場所で働くというスタイルです。そして、経験者が多く、中堅クラスが中心に構成されています。そんな環境で働く私たちの仕事の魅力は、何と言っても分娩期に寄り添い、命の誕生の瞬間に立ち会える、家族の誕生に立ち会えることではないでしょうか。そして、女性のライフイベントに長く関わることができることです。病院で受け持つ出張講座がありますが、その中で私たちは中学生や高校生に対して命の大切や性教育も担当しています。そういう教育機会はまさに女性のライフイベントに関わるスタート地点となりますし、同時に、地域貢献に繋がります。スタッフにとっては、自身の個性や強みに気づく機会であり、自分たちの仕事の意味を再認識する機会であり、自分の活かし方を再考する機会となります。これは一例ですが、スタッフには日常の仕事の中で、自身の仕事の意味や魅力を感じてもらいながら、個性を活かせるようにマネジメントをしていきたいと考えています。
急性期病院の専門性と地域との連携で不安を抱える妊産婦に安心・安全な環境を提供したい
師長になって4年目になりますが、私も長年、助産師として仕事をして来ましたので業務については一通りわかっていますが、振り返ると管理者の立場で仕事をするとなるとモノの見え方が全然違いました。病院の一部署としての役割だけでなく、院外と関わりの中で私たちの仕事を考える役割を担うようになりました。例えば、出生数の動向、市の政策、地域における周産期のあり方などから仕事を考えるようになりました。そういう役割を担う上で、私が大事にしていることは、妊産婦のハイリスク化に対応できる専門性を急性期病院の特性を活かしながら発揮することです。出生数は少なくなったとはいえ、安心・安全な環境を整え良いお産ができるようにしたいです。そのためには、地域との連携が重要になります。核家族が増加し、出産に不安を抱える人はたくさんいます。また、精神疾患を持つ方、シングルマザーの方と社会的な背景は多様化しています。これらの情報を地域の保健師さんが把握されているので、私たちが保健師さんとタイムリーにコミュニケーションできる関係を築いておくことが妊産婦さんのケアに影響してきます。保健師さんと日常的に情報交換し、私たちが受け持つ約1週間の入院生活において、先を見据えた支援ができるようにしていきたいと考えています。
一人ひとりの事情に配慮し、個性を活かせる環境を提供し、誇りを感じる職場をつくりたい
職場づくりに関しては、スタッフ一人ひとりのモチベーションが向上するような環境を作りたいと考えています。その結果、周産期センターで働いてよかった、できることならば、ここで働いて誇りに感じる経験ができたと言ってもらえるように頑張りたいと思っています。看護師は概ね3年から5年を経て、他部署に異動するので、どの部署で働くことになってもここで働いたことで大人の看護にも活かせるようにしてほしいと思っています。また、助産師には先に挙げた教育機会のような様々な活動にも関わってもらい、さらに専門性を高めてもらいたいと思います。そのためにも、それぞれの持つ得意分野を理解し活かすだけでなく、一人ひとりのチャレンジしたいことに目を向けて、それを積極的に支援していきたいと思います。また、子育て中のスタッフに対しては、仕事と子育ての両立の大変さを考慮して勤務してもらう環境を作りつつも、できる限り成長機会となるように配慮していきたいと思います。