患者さんが、自然とポジティブになれるように

入院をきっかけに、看護に興味を持ちました

私が看護師を目指そうと思ったのは、高校生の頃でした。ある時入院生活を余儀なくされたのですが、進学や勉強のこと、病気のことなど、色々な悩みや不安を持っていた私の良き話し相手になり、いつも的確なアドバイスをくれた看護師さんの存在に勇気づけられ、「将来、私も誰かの力になれるような仕事がしたい!」と、看護の道に進むことを決心しました。晴れて看護師免許を取得した私は、看護師になるきっかけを与えてくれた大学病院に就職を決めました。当時お世話になった看護師さんや主治医の先生たちと、白衣を着て再会した時は、本当に嬉しかったです。そして尊敬できる先輩達と仲間になり、今度は自分も一緒に患者さんのケアが出来た喜びと感動が、どんな時も前向きな気持ちで乗り越えられる、強い心を作ってくれたと振り返っています。

指導は、信頼関係作りが大切

就職してからの6年間、外科病棟で充実した日々を送って来ましたが、その後、長く暮らしてきた地域に貢献したいという思いで、当院に再就職して、内科の病棟に配属されて、今年で20年となります。糖尿病を中心とした、腎・内分泌系疾患の患者さんが多く入院されている当病棟では、患者さんへの指導に力を注いでいます。なかには、指導したことを頭では理解できていても、実生活の場面に落とし込むことが難しく、何度も入退院を繰り返す方も少なくはありません。そういう場合でも、一方的に知識を教えるのではなく、「なぜ指導内容が守れなかったのか?」「それが続くことで、どんな合併症を起こすリスクが高まるのか?」「どうすれば自分の行動を変えられるのか?」など、なるべく患者さんやご家族と一緒に考え、出来るところから一つずつクリアしていけるよう、目標設定するところからはじめます。このような話し合いや指導を有効にするためには、やはり信頼関係があってこそだと私は思います。患者さんの性格や生活歴や家族背景などにもしっかりと目を向けながら、闘病意欲を高められるようなコミュニケーションスキルを、さらに磨いていきたいです。

〝望む暮らし〟に向けて、早期からの介入を

これからますます高齢化が進む中、慢性疾患を持ちながら自宅療養する人が急増すると見込まれ、それに伴い、在宅での看取りも徐々に増えると予想されます。「住み慣れた家で、自分らしく生きたい」と願う患者さんの気持ちに沿う援助を、途切れ目なく行っていくためには、これまでの経過や患者さんのバックグラウンドをよく知っている病棟看護師が、積極的に退院支援に関わっていくことが重要です。患者、家族の希望に沿い、看護師が中心になって主治医や地域連携室との橋渡し役となることで、最期の貴重な時間を家族と一緒に家で過ごせるケースも珍しくはありません。今後は生活指導と合わせて〝その人が、どう生きたいのか?〟〝何を大切にしたいのか?〟を引き出しながら、患者さんが望む暮らしのイメージに、少しでも近づけられるよう、スタッフみんなで取り組みたいと思います。