認知症看護は、患者さん一人ひとりの『らしさ』を引き出す、とても奥深い仕事

認知症看護認定看護師
河島智子

私が担当している認知症看護は、患者さん一人ひとりの『らしさ』を引き出す、とても奥深い仕事です。例えば、ある患者さんは、昔、ピアノを弾くのが好きだったと家族から聞きました。そのことをきっかけに、病棟でピアノの音色を流してみると、患者さんの表情がパッと明るくなるんです。そんな瞬間に出会うと、看護師として本当にやりがいを感じます。認知症の患者さんは、言葉で気持ちを伝えるのが難しい方も多いですが、表情や行動から、その方だけの世界が見えてきます。その世界に寄り添い共に歩んでいく、それが私の仕事です。いつか私も歳をとる…その時自分自身がどんな風に過ごしたいか、ということを考えながら、目の前の患者さんたちに向き合っています。


患者さんの意思を尊重し、一人ひとりに合わせた個別ケアが大切にしていきたい

認知症の患者さん一人ひとりは、全く異なる個性を持っています。同じ認知症でも、症状の出方や、性格は千差万別です。そのため、画一的なケアではなく、一人ひとりに合わせた個別ケアが大切だと考えています。例えば、ある患者さんは、集団行動が苦手で、一人静かに過ごしたいという方がいます。その方の気持ちを尊重し、一人だけの空間を用意したり、個別活動の時間を増やしたりするなど、その人が心地よく過ごせる環境を整えることが重要です。また、意思決定支援においては、患者さんの意思を尊重することはもちろん、家族や他の医療スタッフとの連携も欠かせません。多職種で連携することで、より良いケアを提供できると信じています。


『観察力』と『共感力』を活かし、家族の気持ちにも寄り添い、悩みを共有していきたい

認知症看護の仕事を通して、私は『観察力』と『共感力』を養ってきました。患者さんのちょっとした言動や表情の変化から、その人が何を考えているのかを読み解くことができるようになりました。また、認知症の患者さんだけでなく、ご家族の気持ちにも寄り添い、共に悩みを共有することも私の仕事です。患者さんやご家族と信頼関係を築くことで、より良いケアを提供できると信じています。この病院で働いて良かったことは、多くの経験を積むことができ、成長を実感できたことです。特に、認知症看護認定看護師の資格を取得できたことは、私にとって大きな自信になりました。これからも、患者さん一人ひとりの『らしさ』を大切にし、質の高い看護を提供していきたいと考えています。