患者さまの近くで仕事がしたかった

iawata-4小学生のころ、叔父が亡くなったことがきっかけで、将来は医療関係の仕事がしたいと思うようになりました。高校の時に進路を決める際、理学療法士なども考えたのですが、患者さまの一番近くにいられる存在という理由で看護師になろうと決めました。

浜松医大の卒業時に多くの友達は大学病院に残りました。しかし私は、新たな環境で技術を養いたいという理由から、大学病院ではなく、地域の病院に就職したいと考えました。そして知人が当院に入院したことから当院の看護に触れ、ここに就職したいと思ったのです。

 

思いを汲み取り、出来る限り希望を叶えたい

これまでの看護を振り返ると、いつも蘇ってくる出来事があります。それは卒後5~6年目に担当した、すい臓がんの患者さまのことです。

その方は、術後に退院されたのですが、しばらくして栄養状態が悪くなり、再入院して来られました。再入院後は輸液で状態が緩和されたので、輸液を行いながら退院に向けた準備をしていました。そんな頃、私が夜勤で受け持ちました。

夜中の2時ごろにその方からナースコールがあり「息が苦しい」「家族を呼んでほしい」とおっしゃいました。医師とも相談し、酸素をつけて朝まで様子を見てからご家族に連絡をすることを提案したのですが、ご本人は「もし間に合わなかったら君のせいだからな」と言い、不服な様子で息苦しさに耐えておられる様子…。そのためご家族に連絡をして来ていただいたのですが、その後しばらくしてその方は、ご家族に見守られながら帰らぬ人になりました。

振り返ると、私がとった行動は患者さまの希望に沿うものではなく、ご家族と過ごせる残された貴重な時間を奪う行為でした。その体験から私は、常に患者さまの思いを汲み取り、出来る限り希望を叶えられるよう行動しようと考えるようになりました。

 

緩和ケアのスペシャリストを目指して

iawata-4_2看護していて嬉しいと感じるのは、患者さまの笑顔やホッとした表情を見る時です。入院生活は辛いことが多いと思うのですが、私が関わることで気持ちが紛れ得て表情が綻んでくだされば私も嬉しいと感じます。

また、急性期を乗り越えた患者さまが退院される姿を見るのも、看護師としては嬉しいことです。私自身、看護師経験は外科系が多く、これまでそんな看護にやりがいを覚えてきたのですが、最近は、ターミナルの人への看護を深く学びたいと思うようになりました。私は心理面への介入が不得意な部分もあり、それを克服したくて緩和ケアについて学ぶため、緩和ケアの認定看護師を目指すことにしました。

研修を終え、緩和ケアの認定看護師になったときには、自分だけがスキルを使うのではなく。考え方を伝えて共有し、周りのスタッフと一緒に患者さまに関わりながら、緩和ケアを身近なものとしてとらえられる環境づくりに貢献したいと考えています。